店主の独り言

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2015.06.09
お酒の学校 7時間目 日本酒編 『加水とは!』

皆さんこんにちは! 『楽しい飲酒生活案内人』の木名瀬 敦志です(^O^)

本日はお酒の学校 日本酒編 『加水』 についてお話ししたいと思います。

いろいろな職業の人たちが集まり、その職業の「ぶっちゃけ話」をするという

某TV番組があります。皆さんご覧になった事ありますか?

以前、その番組にある日本酒の蔵元が出て、

「実は日本酒は水で薄めています」

とぶっちゃけ話をしたそうです。

いやいやいや!

「ぶっちゃける」も何も・・・

それは当たり前の事なんですよ。

ぶっちゃけると言うと、何か今まで秘密にしていた事を思い切って告白します!

って言う何となくマイナスなイメージがありますよね。

その番組を見た人は少なからず誤解をしてしまったんじゃないかと私は思いました。

、『加水』することは、

決して悪いことでもなんでもないんですよ~!

日本酒は、米と水を使って造られます。

お酒を醸す時に使う水を、「仕込み水」と言い、

出来上がったお酒の味わいを調整する水を「割り水」と言います。
(仕込み水と割り水、呼び方が違うだけで、同じ水質です(笑))

では、なぜ、出来上がったお酒に水(割り水)を加えるのでしょうか?

そこには、二つの理由が考えられます。

一つは、「量を増やすため!」

出来上がった原酒に水を加えることによって、生産量を増やすことが出来ます。

いわゆる、水増しってやつですが、お酒の場合、これは別に悪い意味ではありません。

そしてもう一つが、「度数を下げて飲みやすくするため」です。

当然、原酒は度数が高いので、味と香りのインパクトがありますが、

こういう度数の高いお酒は飲み疲れたり、食事しながら飲むのには合わなかったりします。

お食事をしながら、ゆっくり飲みたい時などは、度数の低い、香りのあまり強くない酒の方が
飲みやすかったりしますよね。

また、気温の高くなる夏は、日本酒はビールなどと比べて清涼感が劣るため、

日本酒を飲む量が少なくなりがちです。まして、度数の高い原酒ですと、尚の事、

重く感じられてしまうので、度数を下げ、飲みやすくした物を昨今は「夏酒」として

出すようになりました。

画像

このように、お酒にはそれぞれ「味わい」の違いがあります。

蔵元は自分が意図する味わいになるように、原酒に加水してお酒の味わいを決めていくのです。

また、原酒に加水すると、酒は一度バランスが崩れてしまい、

味がバラバラになってしまうので、すぐに商品として出荷することができません。

加水して、1か月から2か月位の間、冷暗所に保管して

酒の味わいが落ち着くのも待たなければなりません。
(新酒の時期に、生原酒が先に出荷されるのはこのためです)

以前は、お酒を貯蔵するうえで、品質の変化を少なくするために、

出来るだけ原酒(アルコール度数の高い状態)の状態を保っていましたが、

現在では、貯蔵タンクの改良や瓶に詰めた状態での冷蔵貯蔵設備の完備など

によって、お酒が出来上がったらすぐに、加水や火入れの作業をするようになっています。

そうすることで、お酒の味わいを早く安定することができ、

貯蔵・熟成に神経を集中することができるようになりました。

つまり、現代の酒造りにおける

『加水』

というのは、

『味わいの表現方法』

なのです!

次回は、お酒の品質維持に欠かせない、

もう一つの大切な作業

『火入れ』

についてお話ししたいと思います。

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