店主の独り言

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2015.06.24
お酒の学校 16時間目 本格焼酎編 『蒸留方法・前編』

  • 店主の独り言

みなさんこんにちは! 『楽しい飲酒生活案内人』の木名瀬敦志です。

本格焼酎の話もいよいよ佳境に差し掛かってきました。

本日は、本格焼酎の香りと味わいに大きな影響を与えるとも言われる、

『蒸留』についてお話ししたいと思います。

焼酎の最大の特徴は、お酒の中に糖分がないという事です。

そのため、糖分の摂取を気にする方々に愛飲されています。

みんな蒸留されているのは同じなのに、

商品によって、香りや味わいの違うものが多数存在するのは

どうしてなのでしょうか?

一見すると、無味無臭のアルコールのように思われがちですが、

そこには、各蔵元の技と情熱が込められていて、

それが個性となって味わいに違いが生まれて来るんですよ!

その技の一つが現れるのが、蒸留方法なのです!

本格焼酎を造るには、単式蒸留器を用います。
単式蒸留とは、蒸留を1回だけ行う事です。

蒸留する時の温度によってお酒の仕上がりに差が出て来るため、

その温度設定は、各蔵元の企業秘密ともなっているんですよ。

そして、単式蒸留には

『常圧蒸留』 と 『減圧蒸留』

という二つの方法があります。

まず、常圧蒸留についてご説明いたします。

常圧蒸留は古くから行なわれている伝統的な製法で、

蒸留器内の気圧を操作することなく蒸留する方法です。

通常の気圧(1気圧)のもとで蒸留するので、

90度から100度の沸点で蒸留させます。

その湯気を冷まして、液化させたものが焼酎です。

普段、皆さんがやかんでお湯を沸かした時に、

お湯が沸騰して湯気が出ますよね!その原理と同じです。

また、常圧蒸留で造ると、原料の風味が良く引き出され、

個性のあるお酒が出来ます。

しかし、雑味などの余分なものまでも合わせて取り出してしまうのが難点なんです、

雑味と言っても、これは焼酎全体の1%にも満たない量なので、

気にする必要もないかと思いますよ。

次に、減圧蒸留についてご説明いたします。

減圧蒸留は蒸留器内の気圧を下げて蒸留します。

気圧が低い場所(標高が高い山など)でお湯を沸かしたとき、

100度よりも低い温度で沸騰しますよね。

この原理を利用して行うのが減圧蒸留です。

例えば、富士山の頂上でお湯を沸かせば、地上よりも早く沸騰します。

また、減圧蒸留は、もろみ(お酒の原液)の温度が40度から50度くらいの

低い温度で沸騰させることができるので、雑味などを含まないクリアで癖のない

お酒を蒸留することが出来ます。

この、減圧蒸留の開発によって、

『本格焼酎は臭い!!』

というイメージを一掃し、

焼酎ブームに拍車をかける大きなきっかけとなりました。

減圧蒸留と言うと、何か悪いイメージを持つ方もいるかと思いますが、

最新の蒸留技術なんです。

ここまで、二つの蒸留方法についてご説明してきましたが、分かりましたでしょうか?

次回は、二つの蒸留方法による、味わいの違いについて、お話しいたします。

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