店主の独り言

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2015.08.30
『現在の、ひやおろし、事情・・・!』 お酒の学校27時間目、日本酒編

皆さんこんにちは!
茨城県水戸市の酒屋
【度胸で仕入れ、情熱で売る!】リカーショップキナセの店主
『楽しい飲酒生活案内人』の木名瀬敦志です!

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先日の説明で何となく『ひやおろし』の意味はご理解いただけたとは思いますが、そもそも、『ひやおろし』には明確な定義があるのでしょうか?現在は、実に様々なひやおろしのお酒が出回っているようですが、これも各所の解釈の違いによるもので、大人の事情というヤツですね!でも、その自由な風潮が本来の伝統や文化を失っていってしまうのも残念な話です(^_^;)

本来『ひやおろし』は蔵内の温度と外気温が同じくらいになった頃に出荷される『生詰め酒』という説明をしましたが、その蔵元からの発売時期一つとっても実に様々です。フランスのボージョレ・ヌーボーのように11月の第三木曜日の午前零時から解禁です!と言った明確なものは決まっていないのが現状です。

ですので、蔵元によっては、9月9日の重陽の節句(菊の節句)に出荷を開始したり、10月1日の日本酒の日に合わせて発売したりとまちまちで、8月のお盆明けから出荷する蔵元もあれば、挙句の果てには7月の新盆の時期を過ぎたころから発売を始めるところも出始める始末で、その様子はまるで季節先取りのファッション業界のようです。

また、最近では製造方法においても様々な解釈が出始めているようで、二度火入れしたものや本生の状態のお酒を『ひやおろし』として発売している所も見受けられます。そこには、先ほど触れた大人の事情というものが微妙に絡んでいて、自分たちの都合のいいように変えてしまっているんですね(^_^;)そうなってしまうと、売り手である酒屋やデパート、スーパーなどの酒売り場の良識ある自己判断にゆだねるしかありません。

まるで、酒売り場の陣取り合戦をしているようで、もうそこには飲み手である消費者の気持ちなど微塵のかけらも感じられないのが現状なんです。『ひやおろし』本来の意味を今一度思い返して、秋の移ろいを愛でながら旬の味わいに興じてこそ、日本人が愛する日本酒の姿ではないでしょうか!

実は、ひやおろしには別名があり『秋上がり』の酒とも言われています。私は個人的にはこちらの方が趣があって好きなんですが、秋という季節が短いことから、メーカーさんたちはあまり使いたがりません。皆さんは、どちらの表記がお好きですか?
次回は、『秋上がりのお酒』について触れてみたいと思います。

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